Vol.02 株式会社中特ホールディングス様

廃棄物処理をはじめ、建設業、解体業、遺品整理事業などを手掛ける6社からなる中特グループ。経済産業省・中小企業庁選定「がんばる中小企業・小規模事業者300社」にも選出されておられます。会社の認知度の向上はもちろん、業界全体のイメージを変えたいという壮大な思いのもと、どのようにブランディングに取り組んできたのか、どのような結果が生まれたのか、弊社代表の有澤卓也が伺いました。

ZP®(ずっとパートナーズ®)ブランディング
30年以上にわたり、企業や学校、自治体などの様々な広告・ブランドづくりに携わってきたアストラカン。その中で培った、“自社では気づけない魅⼒を際⽴たせる技術”を強みに、中長期的な視点でブランディング支援を行い、クリエイティブ・パートナーとして伴走していくオリジナルプログラムです。

会社の認知度も高くなく、グループ6社が同じグループに見えていませんでした

―ブランディングに取り組んだきっかけはどのようなものでしたか。

橋本:アストラカンさんとブランディングに取り組むずいぶん前から、ブランディングには興味を持っていたんです。というのは、私が社長になった頃、社員からよく言われていたのが、営業に行くと「大企業と違って、ウチが何の会社かという説明から始めないといけないので、時間がかかってしょうがない」ということでした。それで、ブランド力をつけて認知度を上げたいという思いを抱いていた時に、アストラカンさんのブランディングセミナーに参加する機会があり「これだ!」と思いました。

有澤:セミナーでは、ブランドとは何かという話からさせていただいています。その際に、やはり「社名を聞いただけで何をやっているか想起でき、他社と比較せず指名いただけるスピードが速まることがブランドの価値である」という話もさせていただいていますので、まさに、ぴったりだったかもしれないですね。

橋本:それまでも、いろいろ取り組んでいたつもりでしたが、「CI」だと思ってやっていたことも、見た目だけ気にして、グループ各社バラバラにマークを作っていただけだったんですね。「一貫性が何より大切」という話があり、今、思うと「グループ会社に見えない」って言われていたのも頷けます。

「みんなでつくるブランディング」に共感しました

―実際、ブランディングをはじめて見て感じられたことは?

橋本:アストラカンさんのブランディングの大きな特徴だと思うのですが、「ブランドは、みんなでつくるもの」という考え方に共感しました。社員でブランディングチームを作るところからはじめたのですが、私がセミナーで聞いた内容をメンバーみんなに話していただいたことで、一人ひとりが意義を理解したうえで取り組むことができました。トップダウンで、今日からマークはこれ、スローガンがこれって発表するのとは、ぜんぜん違うと思います。

有澤:そうですね。どれだけ良いブランドメッセージやロゴマークを作っても、社員が「上が決めたものだから」という認識では浸透せず、社外にも発信されていきません。御社は、会社の明日を担うような意識の高いメンバーを選抜していただき、本当に積極的に取り組んでくれました。一番印象に残っているのは、「会社の未来についてのワークショップ」です。

橋本:あの時は、発言をその場で絵にしていく「グラフィックレコーディング」という手法ですすめてもらいましたが、社員から「宇宙ゴミや海洋ゴミの回収」、「AIによるゴミ収集」といったアイデアがいっぱいでてワクワクしました!社員は、やはり目の前の仕事に一所懸命になってしまうので、未来という視点を持ついい機会になりました。

有澤:皆さんに発表もしてもらいましたが、ワークショップの議論も盛んで発表も上手な方が多かった。当事者感がでてきたというのでしょうか、自覚や責任というものも感じるいいワークでした。

橋本:そうして決まったスローガンが“まちと未来をキレイにする仕事。”というものです。今、一人ひとりのやっている仕事が、人にも環境にもやさしく美しいまちをつくっていくことにつながるものであること。そして、私たちが、みんながかなえたい未来への架け橋になっていくという思いを込めたものです。今では、この言葉が掲げられた解体現場の工事幕を見て、誇らしげに感じるといってくれる社員もいるほどです。また、ブランディングチームのメンバーたちは、会社の明日を考える視点で話すようになり、実際、そのメンバーから幹部候補がたくさんでているんですよ。これもブランディング効果でしょうか。

社外からの視点を考える機会に

―社外からの意見も参考になったようですね。

橋本:そうなんです。弊社がどのように見えているかを社外の方に聞いていただいたのも、本当に役に立ちました。特に「中特ホールディングスをイメージする色」を聞いてもらった時、「青」とおっしゃる方が多かったのは驚きましたね。環境をイメージした「緑」をマークなんかにも使っていましたので、経営陣は、ほとんど「ウチは緑」って思ってました。

有澤:そうなんですよ。色の話もそうですが、会社の特徴、それこそ強みや弱みを探る際も、社内とは違った視点の意見が聞けることが多いです。「商品力」が最大の強みだと思っていたのに、「社員さんの対応で選んでる」とおっしゃられたりすることもあります。

橋本:確かにそうですね。社内の固定化された目線では気づかないことがあるんですよね。それに、アストラカンさんのような第三者が外部に聞いていただくことで、正直に話せるというのもありますものね。

有澤:そのような役割が果たすことができていたら、それも我々の入らせていただく価値かと思います。

認知度の向上を実感、採用にも効果あり

―ブランディングに取り組んで実感されている効果はありますか。

橋本:まず、6社バラバラだったイメージが統一されてグループ会社であることが認知され、各社が「中特さん」と呼ばれるようになってきましたね。町をまわっているゴミ収集車にも新しいロゴと“まちと未来をキレイにする仕事。”というスローガンが入っているので、その印象が強いようです。

有澤:橋本さんが、ずっとおっしゃっている業界のイメージを変えたいという思いにもブランドは貢献できるものだと思っています。

橋本:そうなんです、この業界をもっと誇りを持てる仕事にしたいという思いがずっとあります。以前、北欧を視察した時、リサイクルの現場で働いている人たちがものすごくかっこよかったんですよ。「社会のために、こんなに俺たちいいことやっているんだぜ」って、おっしゃったのが印象的でした。そういった誇りを持つためには働いている環境がとても大切です。2022年に新しい社屋を建てました。廃棄物という言葉からはイメージできない斬新な建物をめざしましたが、新しいロゴがマッチしています。

有澤:確かに外観も目を引く素敵な建物ですが、フリーアドレスにされていたりと先進的な取り組みも多く、皆さんの働く意識も変わってきますし、対外的な見え方も変わってきます。

橋本:そう、建物だけでなく、会社のことを発信するホームページや広報物なども含めて、見え方が変わってきたことで採用にも役立っているんですよ。今までになかった「関西圏の大学院卒」といった方なんかからも応募いただけるようになりました。

有澤:企業は「顧客との接点をデザインする」ということがとても大切ですが、中特グループさんは、あらゆる接点でブランディングの視点も持たれていて、ステークホルダーの方とうまくコミュニケーションされていると思っています。

橋本:ありがとうございます。最初、ブランディングは「コスト的」に大きいなと感じていましたが、今となっては、良い「投資」だったと思っています。ブランディングを考える企業さんには、「コストではなく投資」と考えて取り組んでいただきたいですね。

株式会社中特ホールディングス様のWORKS

株式会社中特ホールディングス
代表取締役 橋本ふくみ様

山口県徳山市(現周南市)生まれ。
損害保険代理店から、父親が経営する現在の会社に入社され、
2005年に代表取締役社長に就任。

株式会社ASTRAKHAN
代表取締役 有澤卓也

クリエイティブディレクター兼コピーライター。
ZPブランディングディレクター。